額面著色鬼女図

解説

日本画家、蒔絵師として有名な柴田是真(しばたぜしん)作の大きな絵馬です。源頼光の家臣・渡辺綱は、女に化けた茨木童子の退治に出かけ、鬼女の腕を切り落としました。

鬼女は綱のおばに化け、綱から腕を取り返した、という伝説をもとに描かれたものです。この絵の凄みは見た者を慄然とさせ、是真の出世作となりました。

絵を納めたのは江戸住吉の砂糖商人の同業者組合です。当時、江戸幕府に砂糖の専売権を奪われていた住吉明徳講という砂糖商人の組合が、伝説になぞらえ専売権を取り戻したいと祈願して納めたものです。

その後、商人たちの努力もあって専売権は講に戻ったということです。正月3が日と2月の午の日(10:00~16:00)に公開されます。

王子稲荷神社は、江戸時代には関八州の稲荷の惣社とも称され、江戸の人々の崇敬を集めましたので、このほかにも谷文晁筆の板絵著色の龍図や数多くの文化財が保存されています。(本堂の天井画)

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